ユージン、


十年もの長い間、僕は君を、


思い出の中だけに置き去りにしてしまった。


やっと、つかんだ君のその手だったのに・・・


もう、二度とその手を離さないと誓ったのに・・・


どんなときも、離れないと誓ったのに・・・


僕は、この海で君と別れようとしている。


何ひとつ、思い出は残さず、


これからも、何ひとつ思い出はつくらない、


いっそ、この海のむこうまで


君をさらっていくことができたなら・・・・


いや・・・ そんなことをしても


もうこの世界のどこにも


僕たちが寄り添える場所はないのだから・・・・


僕は・・・君のそばから、消えていなくなる・・・


それしかないんだ・・・


ユージン・・・・


今、僕の目の前にある海、


静かな波音なのに、


悲しい泣き声に聞こえる


君が僕を思い


涙を流している


悲しい泣き声に聞こえる



ごめんよ


ユージン


また君を泣かせてしまう・・・・















ほら・・・・

あの日僕は、この手袋を

君に返そうとしたんだね ・・・・




僕の記憶の中にたしかにいる君

これからは ずっといっしょに・・・・生きていこう




永遠に誓ったはずなのに・・・





深い心の暗闇をさまよい


再び、別れの決心をするチュンサン。


またあの時と同じように


何も知らないユージンを


置き去りにしなくてはならない・・・




どれほど愛しても、


その愛は、


繰り返し未来に拒絶され・・・・




それでも、


あなたの愛は、


ポラリスのように


どんなときも変わらず、


遠く輝き、


愛する女性を見守りつづけ、


幸せを願い続け、



そして・・・


あなたの真実の愛が、


最後には、新しい運命の扉をあけるのです。


長い、長い、時間を経て・・・・





今、あなたの手のひらにあるコインは


表・・・です。


あなたの変わらぬ愛で、


もう絶対に表しかでない、


コインを手に入れたのです。




幸せに・・・・


チュンサン・・・




〜海の章〜

End











あの "18歳の別れ" のチュンサンの心の声・・・


10年の歳月を経ても、

同じ苦しみから、つきあげてくるのは

同じ心の声でした。


18歳のまだ幼さの残る青年は、

10年後には包容力あふれる大人の青年となっていました。


いっそ、君をさらっていくことができたなら・・・


今度こそ、大きな愛で、しっかりと愛する人をつつみこみ

どれほど、自分の腕の中で愛する人を幸せにしたかったことでしょう。


2話の別れ 〜雨の章〜を

あなたの心に降る雨は、どこまで降り続けるのだろう

と結びました。


そして





18話の別れ 〜海の章〜 は、

二人にとっては、最後の別れ、最後の試練です。


月日が流れ、再び二人が寄り添う日が来たことを見届けて・・・


今度こそ


幸せに・・・・チュンサン


と結びます。





Music
色あせた記憶