街の風景




街の風に引き裂かれ 舞い上った夢くずが

路上の隅で寒さに震え もみ消されてく

立ち並ぶビルの中 ちっぽけな俺らさ

のしかかる虚像の中で 心を奪われている



あてどない毎日を まるでのら犬みたいに

愛に飢え 心は乾き ふらつき回るよ

灰色の壁の上 書きなぐった気持は

それぞれの在り方の空しさに震えてるんだ



追い立てられる街の中 アスファルトに耳をあて

雑踏の下埋もれてる歌を見つけ出したい

空っぽの明日に向けて投げてやるさ

誰もが眠りにつく前に



心のハーモニー 奏でよう

ガラス作りの歌 奏でよう

無限の色を散りばめた 街の風景



黙ってておくれよ 理屈なんかいらない

甘えだと笑うのも よく解ったから

無意味のような生き方 金のためじゃなく

夢のため 愛のため そんなものにかけてみるさ



追いたてられる街の中 めくるめく日の中で

思い思いに描いてく 歌い続け 演じ続け

人生はキャンバスさ 人生は五線紙さ

人生は時を演じる舞台さ



心のハーモニー 奏でよう

ガラス作りの歌 奏でよう

無限の色を散りばめた 街の風景







もう数年前のことですが、娘の高校の合唱祭に行きました。

「若さ」とは、その声にもしっかりと現れるもの。



のびやかな...澄みわたる...少女の声。

10代の、希望と 夢と そして未熟さと...



あの時代にしか 歌えない 心と声がそこにはありました...



〜街の風景〜 

これを作ったのは尾崎が高校1、2年生のころ。

そしてこの歌声もまた高校生の尾崎の歌声。


17歳の地図 というアルバムの中で一番に登場する曲

17歳の尾崎にしか 歌えない 心と声がここにはある....





青山学院からの帰り道、

乾いた心でふらつきまわった渋谷の街の雑踏



心のハーモニー 奏でよう

ガラス作りの歌 奏でよう

無限の色を散りばめた 街の風景




街の風景は、尾崎には

冷たく立ちはだかるだけのものではなく

殺伐とした雑踏の中にも夢と愛を歌わせる魅力があったのだろう。

たとえ見知らぬ人どおしがすれちがうだけの雑踏でも

行き交う人の心に必ずあるはずの「愛の存在」を感じようとしていた尾崎、



人ごみの中に

心うばわれ、立ちつくす高校生の尾崎豊の影が

見えるような気がする。